THEORY

筋肉、筋膜の図

よしかわ整骨院の筋肉・筋膜整体は、身体の痛み、しびれ、歪み、関節の動きの制限、不定愁訴などの改善を目指す手技療法です。

筋肉を過度に使い疲労がたまると、その部分の血液の流れは悪くなり酸素不足・栄養不足になります。
すると身体は、ブラジキニン、プロスタグランジンなどのような痛み物質を産生し、その場所が痛みの発生源となります。

身体に痛みが生じると、無意識に痛みを感じにくい姿勢(疼痛緩和肢位)をとるようなり、これが姿勢の崩れの原因になります。

よしかわ整骨院では、異常のある筋肉・筋膜に対して圧迫、摩擦、伸長刺激を加え、筋肉・筋膜の体液循環の改善を行い症状の改善を目指します。

筋肉・筋膜の状態が改善して痛みが軽減した身体は、三半規管によって正しい姿勢を保つ事ができるようになり症状が出にくい身体に変わります。

椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、変形性関節症などの診断を受けていても、筋性疼痛(筋肉や筋膜が原因の痛み)が併発している事があります。
それらの症状に関しても筋肉・筋膜への施術を行う事で症状の軽減、改善が期待できます。

めまいや耳の症状、歯痛、その他不定愁訴に関しても筋肉・筋膜が原因の血流障害から生じる場合があります。

先に専門医を受診していただき異常がなかった場合などに筋肉・筋膜の施術を選択肢に入れていただく事をおすすめします。

筋肉・筋膜整体
による鎮痛作用

筋肉・筋膜への施術の生理学的理論背景

触圧覚刺激(触れられたと感じる程度の刺激)によるものでは、

・交感神経活動の抑制
※交感神経(筋肉を緊張させる自律神経)

・α運動ニューロン抑制
※α運動ニューロン(筋線維を支配して筋肉の収縮に関与する)

・内分泌ホルモンバランス調整

などがあり、

痛覚刺激(痛みを感じる刺激)によるものでは、

・下行性疼痛抑制機構
※脳幹部から神経線維が脊髄後角に下行し、そこで痛みの伝達を遮断するシステム。
伝達物質にノルアドレナリン系やセロトニン系(βエンドルフィン、エンケファリンなど)がある。
上記の伝達物質は強力に痛みを軽減させます。

・広汎性侵害抑制調節
※痛み信号があちこちから1度に入ったときには、最も緊急を要する場所の痛みだけが伝わり、他の場所はとりあえず後回しにして痛みが抑えられるしくみ

などが考えられます。

また手技による機械的刺激は、血液、リンパ球、組織液を流動させ、

・筋肉・筋膜の緊張の緩和

・浮腫の軽減

・循環改善による筋内環境の改善

・γ運動ニューロンの抑制
※γ運動ニューロン(筋紡錘を支配し筋肉の長さの調節)

などの変化をもたらします。

その中でも、筋肉・筋膜に施術する事の鎮痛効果には、侵害刺激と機械的刺激によるポリモーダル受容器の興奮が主なものと考えられています。

当院の筋肉・筋膜の治療では、下記の方法を利用して施術を行います

・侵害刺激の入力

​侵害刺激(強い痛み刺激)により痛みを再現させる事で、皮膚や筋肉に広く分布しているポリモーダル受容器(侵害刺激を感知する受容器)を強く興奮させ、痛みの軽減を目指します。(下行性疼痛抑制機構、広汎性侵害抑制調節)

痛みが軽減すると過緊張状態の筋肉は弛緩して関節の動きが改善します。

「あー、そこそこ」「その痛みがいつもの痛みなんだ」というような感覚です。

慢性化した症状、筋肉の病変が重度になった場合などに入力します。
痛みが苦手な方には他の方法を用います。

​・機械的刺激の入力

​筋肉に疲労が溜まると、筋肉内の毛細血管は圧迫され、静脈管に入れなかった組織液が滞り浮腫を起こします。
この状態を改善しようと、身体は血管を広げるためブラジキニンなどのような発痛物質やプロスタグランジンを産生し痛みが強まります。
筋肉・筋膜の治療では筋内部の浮腫(むくみ)を改善し、循環をよくする事で発痛物質の産生を抑制させ痛みの軽減を目指します。

​・自律神経の調節

副交感神経の活性化
筋肉・筋膜への施術は副交感神経を活性化し、リラクゼーションを促進します。副交感神経は「休息と消化」の神経と呼ばれ、リラックス時や消化活動時に働きます。施術によって副交感神経が活性化されることで、心拍数や血圧が低下し、全身の緊張が解けてリラックス状態がもたらされます。

交感神経の鎮静
日常のストレスや緊張によって、交感神経が過剰に活性化されることがあります。交感神経は「闘争か逃走」の神経と呼ばれ、ストレスに対処するために体を準備させますが、これが持続すると体に負担がかかります。筋肉・筋膜への刺激は交感神経の過剰な活性化を鎮静し、ストレスホルモン(コルチゾール)の分泌を抑えることで、心身のバランスを取り戻します。

血行促進とリンパの流れの改善
筋肉・筋膜整体は血行を促進し、体全体に酸素と栄養を供給するのを助けます。また、リンパの流れを改善することで、老廃物の排出を促進し、免疫機能の向上にも寄与します。これらの効果は自律神経系のバランスを整え、体の自然な回復力を高めます。

ホルモンバランスの調整
施術によってリラックスすると、エンドルフィンやセロトニンなどの「幸福ホルモン」が分泌され、ストレスが軽減されます。これにより、自律神経系のバランスが改善され、精神的および身体的な健康が向上します。

筋肉・筋膜整体は、単なる筋肉や筋膜への施術としてだけでなく、自律神経系のバランスを整えるための効果的な方法です。副交感神経の活性化、交感神経の鎮静、血行とリンパの流れの改善、ホルモンバランスの調整といった多くのメリットをもたらし、心身の健康をサポートします。

・ホルモンバランスの調節

ストレスホルモンの減少
現代社会において、ストレスは多くの人々の生活に大きな影響を与えています。ストレスホルモンであるコルチゾールが過剰に分泌されると、体内のホルモンバランスが崩れ、さまざまな健康問題を引き起こします。筋肉・筋膜への刺激は、コルチゾールのレベルを低下させる効果があり、ストレスの緩和とともにホルモンバランスの正常化をサポートします。

幸福ホルモンの増加
筋肉・筋膜への施術を受けることで、エンドルフィンやセロトニンといった幸福ホルモンの分泌が促進されます。これらのホルモンは、リラックス感や幸福感をもたらし、全体的、精神的な健康を向上させます。特に、エンドルフィンは自然な鎮痛剤として機能し、セロトニンは気分の安定に寄与します。

オキシトシンの分泌
オキシトシンは「愛情ホルモン」として知られ、信頼や絆を強める作用があります。施術による接触はオキシトシンの分泌を促し、人間関係の向上やストレス軽減に効果を発揮します。オキシトシンの増加は、心と体のリラクゼーションを深め、総合的な健康を向上させます。

血流とリンパの循環改善
筋肉・筋膜への刺激は血流を促進し、酸素や栄養素を体の各部位に効率よく届ける手助けをします。また、リンパの循環を改善することで、体内の老廃物の排出を促進し、ホルモンバランスの維持に貢献します。

筋肉・筋膜へのアプローチは、内分泌系のホルモンバランスを整えるための効果的な手段です。定期的に施術を取り入れることで、ストレスホルモンの減少、幸福ホルモンの増加、オキシトシンの分泌促進、血流とリンパの循環改善といったさまざまなメリットを享受できます。

・筋肉の連結や膜(fascia)のつながり

急性期で炎症が強く患部を触ることが出来ない場合や筋肉の緊張が隣り合う筋肉・筋膜に伝わり広範囲に状態が悪化している場合などに利用します。

筋肉の起始と停止を詳しく観察すると筋肉の線維の始まりと終わりが骨(骨膜)のみでなく隣り合っている筋膜や腱にもある事が多いです。
また筋膜は脂肪組織や靭帯、関節包、その他の結合組織のつながりを合わせると広い膜(fascia)となります。

それらを考慮して痛い所以外から施術をする事で安全で効果の高い施術が可能になります。

・トリガーポイントへの刺激

トリガーポイントとは離れた部位に関連痛という痛みを送る発痛部位です。
痛みの原因になっているトリガーポイントを見つけ出しトリガーポイントに刺激を加えることで実際に痛みが出ている所を触らなくても症状を改善させる事が可能になります。

トリガーポイントの解説図

痛みとは?

痛みは生命を守る警告信号として重要な働きを持っています。​
痛みを感じなければ、多くの方は命を全うできません。

※傷害を伝える警告信号が備わっていないということは傷や火傷をしても気づく事が出来ません

また痛みは免疫機能にも関与しているため、痛みを感じない状態で多くの傷や火傷を負う事は、感染症の要因にもなり生命が危険にさらされます。

​痛みには、症状としての痛みと、病気としての痛みという原因が異なる2種類の痛みがあります。

症状としての痛み

症状としての痛みは急性痛と慢性痛に分けられます。

急性痛は、末梢組織(皮膚や筋肉など)に傷や炎症があり、痛みを感じる器官(痛覚受容器)の興奮によって生じます。
この痛みは、何らかの組織の障害を知らせる痛みであり警告信号としての重要な意味を持ちます。

急性痛は慢性痛に移行させないため速やかに取り除くべき痛みです。

​慢性痛では、痛みのために動きが制限されていたり、悪姿勢を続けていたり、運動不足の状態が長く続いていたりする場合が多いです。
このような状態では、二次的三次的に障害を招き、元の慢性痛の痛みだけでなく、さらなる急性痛の痛みも併発し、痛みがどんどんひどくなります。
また、そのまま放置すれば、筋はその状態で拘縮を起こし、廃用性の萎縮(使わない事による萎縮)に陥り、運動制限はますます強くなります。
筋の短縮、萎縮が起こり、また、筋、関節を含めた運動器全体にコラーゲンなど結合組織の増殖・配列異常が生じます。

また、慢性痛には慢性炎症が密接に関係してる事があります。

慢性炎症は、さまざまな健康問題を引き起こす可能性があります。主な影響には以下のものがあります

• 心血管疾患:高血圧、動脈硬化、心臓病のリスク増加

• 代謝異常:肥満、2型糖尿病の発症リスク増加

• 関節疾患:関節リウマチ、変形性関節症

• 消化器疾患:炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎)

• 神経疾患:アルツハイマー病、パーキンソン病のリスク増加

• 悪性腫瘍:細胞の癌化のリスク増加

慢性炎症は、さまざまな健康問題の根底にある重要な要因です。
適切な生活習慣の維持と定期的な医療チェックを通じて、慢性炎症のリスクを軽減する事が大切です。

精神面での悪循環

痛みが長く続いていれば誰しも暗い気分になり、自分の病気がどういうものなのか、いつになったら痛みが取れるのかと不安がのしかかります。
痛みのために気分が落ち込み、無力感をもつような悪い日があり、また、高揚感があって痛みをコントロールできるような具合の良い日がある。
そして、びくびくしながら毎日を過ごし、いつも不安におびえていて、痛みに振り回されています。
慢性痛には鬱的状態も関与している事が多くあります。

身体面での悪循環

第一段階は、痛みのために身体を動かさなくなってしまうことから始まります。
日常生活のなかでも動くことが重荷になる。
そして、次に少しでも具合の良い日が訪れると、それまでにやれていなかったことをいきなりやり始めて、過剰に動きすぎる。
動きすぎると痛みが悪化する。
悪化すると動けなくなる。
そうしているうちに身体全体の調子が悪くなってくる。
疲れやすくなる。
慢性痛をさらに増悪させる事に繋がります。

病気としての痛み

病気としての痛みは、神経の可逆的変容が原因であることがわかり、痛みの概念に大きな変革が起こりました。

※神経の可逆的変容とは、過大な痛みの入力によって、痛み系が元の状態に戻らなくなった状態

もし強い痛みが持続すれば、どのレベルの脳の部位にも痛みによる負の可逆的変容が生じ、病気としての痛みに移行するリスクをもっています。

正常時には独立して働いている痛覚系が、他の神経系と混線状態を起こした状態に変化してしまい、この状態が病気としての痛みであると考えられ、軽く触れただけでも激痛が生じる場合などもあります。

総括​

近年、身体の慢性炎症が癌、動脈硬化、糖尿病、認知症など今まで関係ないと思われていた病気の原因になっている事が分かってきています。
筋肉・筋膜を良い状態に保つ事で、慢性炎症の予防、疼痛の軽減、関節可動域の改善、血液やリンパ液などの体液循環の改善、自律神経やホルモンバランスの調節、ストレスの軽減、姿勢の改善、筋力とパフォーマンスの向上など様々な効果が期待できます。
これらの要素を総合的に捉えることで、筋肉や筋膜に施術を施すことが、身体全体の健康状態に多大な好影響を与える事ができると理解できます。